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電子ガス系における多体問題では,リング項(長距離相関),梯子項(短距離相関),交換項(パウリ原理)をバランスよく取り扱うことが肝要である.高田によって開発・発展された摂動展開理論と変分法の融合であるEPX(Effective
Potential Expansion) 法[1,2]はこの取り扱いを可能にし[3-5],それにより谷縮重度の関数として基底状態エネルギーが得られた.その結果は強磁性フェルミオン系からボソン系への連続変換が
谷縮重度の変化で記述されることを示している[6].また,EPX法で得られる運動量分布関数がほぼ正確な値であることは
ファインマン定理に基づいて得られた新しい厳密な関係式[7]から証明された[8].
更に,低励起状態も取り扱う定式化を考えてランダウパラメータの第一原理計算を実行[9]した他,ジャストロー関数を用いた変分法ではこれまでなされなかった有限温度への拡張にも成功した[10,11]. さて,通常のバンド理論では交換相関ポテンシャルを決める処方箋がないが,EPXにはその欠点がない.予備的な考察[12,13]後,He原子[14,15]やアルカリ金属[16,17]から計算を始めた.そして,圧縮率やスピン帯磁率の解析から,アルカリ金属は電子ガス系と言うよりは3次元アンチドット格子系であることが示された. |